石ばし

「うまい」を通り越した鰻

品格のある鰻屋は背筋が伸びる。誤解なく伝えたいが、素人は行くべからず。

明治43年創業の石ばし。玄関のレンガ塀は空襲にも耐え、存在自体に力強さと貫禄がある。気を引き締めて扉を開けると着物姿の女将が迎えてくれ、靴を脱いで上がる。和室へ通されて座布団の上に腰を下ろす。地方の旅館へ来たような気になる。

調理には時間がかかるのでビールと肴を注文。この待ち時間の一杯がたまらなく好きだ。

まずはお通し。お通しからして立派。ホタルイカ、かまぼこ、そらまめ。季節の味。これだけでも十分だが、注文した肴は明太子のからすみ風。大根の薄切りが添えられていて、まさにからすみの様。言葉どおり明太子がからすみのような口触りになっていて本格的な和食を食べにきた気持ちが増す。待ちながらにして背筋が伸びる。

そんな肴を味わって心穏やかになりながら、50分ほどして鰻登場。さて、お味は。

「うまい」を通り越して「すごい」。タレは醤油風味のきいた辛めであるものの、少量でほんのりとした味なので、鰻自体の味がよくわかる。余分な脂はそぎ落とされた上品な味。職人さんの鰻の味の良さを引き出してくれいてると勝手に推察。その心意気に感激。

お店の造り、職人さんの技巧から生み出される品格のある鰻。このような鰻屋に出会いなくて探訪しているともいえる。そんなお店だ。

最高峰の味!!

大人の空間

初回訪問日:2018/04/29

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神楽坂 赤城神社

坂を上がればそこは神楽坂。赤城坂をのぼると赤城神社があり、神楽坂の賑わいのある通りへ抜けていける。坂道の勾配は急でしんどいく、息が上がるが、食後の散歩にはちょうどよい坂。

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