久保田

絶品の肝焼きを日本酒と合わせる

扉を開けると着物姿の女将が笑顔で迎えてくれる。気持ちよく入店。

1階は全席が見渡せる空間で、2人の店員さんが作務衣姿でテキパキと動く。店に活気がある。ランチをさばくのに慣れているのだろう。鰻重が出るのも5分くらいと動きが早い。

とはいえ、ここは日本酒のメニューが豊富なので、サクっと鰻を食べるのではなくて、一杯やりたい。定期的に日本酒会をやっているほどの入れようだ。ここは一杯いくしかない、と、「伯楽星」と「肝焼き」を注文。そして「上鰻重定食」を注文。定食はお吸い物と香の物が付く。

先に日本酒、そして肝焼き登場。肝焼きは見るからに立派な大きさ。

まずは肝を一口。「これが肝?」、やわらかくて口の中でこぼれるので鰻を食べているような錯覚が。濃いめのタレが絡み合ってトロトロの肝焼き。まさに絶品。そして伯楽星で口の中を綺麗さっぱり。濃厚な肝焼きを受け止めて、次の一口を要求してくる。最高の食中酒と言われるお酒の由縁はここにある。最高のバッテリーだ。

肝焼きは1本850円と少々お高いのだが、それに見合う味といえる。後悔無し。肝1本で酒1合。

さて、そして真打登場。

ここの鰻重定食は、全体のバランスがいい。鰻重定食についてくる、味がしっかりとした糠漬けがうまい、お吸い物の出汁がうまい。見事な総合演出。
もちろん鰻重もおいしい。スリムでシャープな鰻肉に、タレはほんのりと甘め、そしてご飯の温度、硬さ、鰻重自体もバランスがいい。短時間で提供されるが、見事なものだ。

ここのお吸い物は、お酒が呑みたくなる味。残念ながらお酒はもうカラ。

余談だが、江戸時代にお酒の肴とするものが吸物、ご飯と添えるものは汁と呼んでいたらしい。まさにこのようなお吸い物と合わせることをいうのだろう。

お会計時に、女将へ「肝焼きがすごくおいしかった」と伝えると笑顔で「うちの名物ですから!」と元気のよい返し。
とても気持ちいいお昼だ。

名店!また行く!!

鰻の前にお酒を一杯

初回訪問日:2018/08/04

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