「うちの山椒はオリジナルだよ」
どうりでおいしいわけだ。鰻と山椒がベストマッチ。こんなに鰻の甘みを引き出す山椒は感動だ。
三鷹にある『八つ浜』。駅の北口から歩いて5分ほどの地にある。
お店の中はこじんまりとしていて、通路脇にテーブル席が3つほど縦に並び、その奥が小上がりになっている。その通路を女将が愛想よく声かけをして動いてくれる。活気のあるお店だ。昔ながらの街の鰻屋らしい造りだ。木造でノスタルジックがあり、綺麗で清潔。街の鰻屋で見かける鰻のポスターも貼ってある。8月も半ば過ぎの13時過ぎ、夏らしさを感じる。
さて、鰻重(松)3,600円を注文。満席なので先客と相席になるが、ここの鰻屋は回転が早い。10分ほどで鰻登場。
テーブルの隅に置かれている山椒を匙ですくってまんべんなくかける。山椒をかけるのはいつものことであるが、これが後に感動を呼ぶ布石となる。
さて、お味は。
少し甘めのタレと鰻の脂が口の中にジワジワと広がる。上品というよりは庶民的ないかにも鰻っぽい鰻味。「あ~、心地いい」。
「あれ、山椒がピリピリではなくて甘い。風味は山椒だけど鰻とご飯を馴染ませる味。」最初は気のせいかと思ったので、ご飯と山椒だけでひとくちして確認。間違いない。この山椒は普通じゃない。鰻とタレと山椒の調和。どんどん食が進む。
これはうまい。この鰻重は庶民的鰻の最高峰だ。
「この山椒は普通と違いますよね?」
「うちの山椒はオリジナルだよ」
どうりで旨いわけだ。この山椒と鰻のコラボをまた味わいに来よう。