高級飲食店が多い銀座に、関西風の地焼の鰻が食べられる庶民的な鰻屋がある。「ひょうたん屋 6丁目店 」だ。
重い引き戸をあけると威勢のいい掛け声が飛んでくる。カウンター10席と、テーブル4卓も、平日の11時半、開店早々ですでに8割ほどの入りはさすがの人気店。
カウンターに通されると、そこは焼き場の目の前、特等席だ。ガラス越しに坊主頭の大将がねじり鉢巻きでうちわをパタパタと鰻へ力をそそぐ。焼いては裏返し、裏返してはタレに付け、うちわであおいでは場所を替え。炭火を前に大将が格闘をしている。思わず見とれる。
15分ほどで鰻登場。
お重の箱を開けるてびっくり、「ご飯、多い」。と、思ったものの、底浅のお重。これなら残すことなく食べられる。気を取り直して、一口。
さて、お味は。
コッテリ度MAX、やはり地焼はコッテリが合う。濃いめのタレでアタック感よし、ご飯のパラパラ度よし、温度よし、うれしくなる鰻だ。
下町風情を残した鰻屋が銀座にある。
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★★★★☆ 名店!また行く!!
衆:気軽に立ち寄れる鰻
鰻屋探訪記
銀座で関西風地焼の鰻
ひょうたん屋 6丁目店銀座・新橋・有楽町ビル街でノスタルジックなお昼
吉田屋銀座・新橋・有楽町鰻重は、品格があって贅沢料理というイメージがある一方で、職人が気質でつくる江戸っ子の庶民的な食べ物だ。ここ「吉田屋」は庶民的で家庭的なあたたかさがあるお店。
内幸町の駅から歩いて3分ほどの細い路地にこじんまりとたたずむ年季の入った店。オフィス街のランチタイム間近の11時40分ころ、引き戸を開けてお店へ入ると、一目でお店全体が見渡せる空間から、「いらっしゃい」と穏やかな声がかかる。カウンター5席、窮屈な4人掛けテーブルが所狭しと3つ並ぶ。カウンターには親方と親父さん、それと奥様2人の家族経営のお店のようだ。
1番客だった私はカウンターに座り、上重を注文。
使い込まれたテーブル、焼酎のボトルキープが壁一面に並び、小さなテレビではお昼のニュース。オフィス街にノスタルジックを感じられるお店を発見した高揚感。明治中頃に亀戸天神前で創業し、戦後に今の位置に移ったらしい。まさに昭和ど真ん中を通ってきたようだ。
調理場では親方が鰻を焼き、親父さんが肴を準備する。鰻を焼き始めると、「ジュージュー」とタレが火に落ちる音が店内に広がり、鰻待ちの心が躍る。親方が「ご飯の準備」と声を出す。いよいよだ。
10分ほどで鰻登場。さて、お味は。
醤油味系のコクのあるしっかり味のタレが、口に入れたと同時に広がる。強めのアタック感がいい。表面はよく焼けて香ばしく、身は柔らかい。うまい。ご飯が少し柔らかいのが傷。でも温度はベスト。
12時をまわり、お客さんが増え始めた。テーブル、カウンターも埋まり、2階席にもお客さんが入る。
若奥さんがお客さんの注文を聞いてまわり、女将は2階へ足を運び、親父さんがヤッコを切り、親方が鰻を焼く。小さなお店が活気づくお昼。
心地の良いお昼。ごちそうさまでした。
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★★★★☆ 名店!また行く!!
衆:気軽に立ち寄れる鰻
近隣のおすすめスポット
日本の酒 情報館
日本酒と焼酎の試飲ができるお店。日本酒は60種類ほど、焼酎は40種類ほどあり、30ml or 60mlで100円から試飲できる。4つほどテーブルもあるので、座ってゆっくりと味わえる。お昼ご飯の後に軽く一杯なんてのもいい。 試飲だけでなく、販売、お酒イベントのビラなどがあり、飲まずでも楽しめる。
「うまい」を通り越した鰻
石ばし四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋品格のある鰻屋は背筋が伸びる。誤解なく伝えたいが、素人は行くべからず。
明治43年創業の石ばし。玄関のレンガ塀は空襲にも耐え、存在自体に力強さと貫禄がある。気を引き締めて扉を開けると着物姿の女将が迎えてくれ、靴を脱いで上がる。和室へ通されて座布団の上に腰を下ろす。地方の旅館へ来たような気になる。
調理には時間がかかるのでビールと肴を注文。この待ち時間の一杯がたまらなく好きだ。
まずはお通し。お通しからして立派。ホタルイカ、かまぼこ、そらまめ。季節の味。これだけでも十分だが、注文した肴は明太子のからすみ風。大根の薄切りが添えられていて、まさにからすみの様。言葉どおり明太子がからすみのような口触りになっていて本格的な和食を食べにきた気持ちが増す。待ちながらにして背筋が伸びる。
そんな肴を味わって心穏やかになりながら、50分ほどして鰻登場。さて、お味は。
「うまい」を通り越して「すごい」。タレは醤油風味のきいた辛めであるものの、少量でほんのりとした味なので、鰻自体の味がよくわかる。余分な脂はそぎ落とされた上品な味。職人さんの鰻の味の良さを引き出してくれいてると勝手に推察。その心意気に感激。
お店の造り、職人さんの技巧から生み出される品格のある鰻。このような鰻屋に出会いなくて探訪しているともいえる。そんなお店だ。
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★★★★★ 最高峰の味!!
閑:大人の空間
近隣のおすすめスポット
神楽坂 赤城神社
坂を上がればそこは神楽坂。赤城坂をのぼると赤城神社があり、神楽坂の賑わいのある通りへ抜けていける。坂道の勾配は急でしんどいく、息が上がるが、食後の散歩にはちょうどよい坂。
商店街の中で四万十鰻が食べられる
浜田屋東急沿線商店街の中とはいえ、あなどるなかれ。
日本一長い商店街とうたわれる武蔵小山の商店街。その中でも駅近くの場所に大正14年創業の浜田屋。店構えは庶民的な食事処。天丼や親子丼などの各種丼ものも取り扱っており、鰻屋としては邪道感がある。お世辞にも老舗感はない。しかし、鰻専門店ではないにしても、四万十鰻、坂東太郎のブランド鰻を提供している本格派のお店だ。四万十鰻は都内唯一らしい。(ちなみに、神奈川県ならば「しまむら」四万十鰻を提供している。)
店内は大きな楕円の円卓がひとつに、テーブル席が4つほどとカウンター。2階席もあるようだ。商店街の中だからか街の飲食店の雰囲気が強く、店員さんがテキパキシャキシャキとしてて鰻屋の雰囲気は感じずらい。それも場所柄か。
今日の目当ては四万十鰻。すぐに出来るとのことなのでお酒は無しで鰻を待つと、15分ほどで鰻登場。
さて、お味は。
一口食べると品のよい脂が口に広がる。うまい。これがブランド鰻の力か。タレはさっぱりめだが、アッサリはしすぎずバランスがいい。鰻を食して老舗の味わいをやっと感じられた。
「鰻専門店だったらもっと楽しめたのに」と思いながらも、鰻はお店の雰囲気だけじゃない。と教えてくれるお店なり。
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★★★☆☆ おいしいお店!
衆:気軽に立ち寄れる鰻
東西比べのお重
うなぎ お㚙川 我孫子店柏・松戸手前が関西風、奥が関東風の東西対決重。欲のはったお重だ。ゲスの極みというのか、贅沢の極みというのか。
千葉県の常磐線我孫子駅を降りてすぐのお㚙川。関東風の鰻と関西風の鰻が1つのお重で楽しめる、鰻たっぷりの東西鰻重。
お店はL字カウンターにテーブルが4つ。こじんまりとした空間ながら、店員さん3名が若くて活気があって美男美女。ゆえにお店の雰囲気も自然に明るくなる。壁の張り紙には、注文してから調理をするので30分ほどかかる旨の記載。鰻屋はこうでなくちゃ。それを教えてくれるのも好感持てる。待ちの時間を楽しもうと、熊本のお酒「花の香 純米大吟醸」と「肝焼き」を注文。春らしい甘い香りのお酒を呑みながら、至福の時を過ごす。
待つこと30分ほどで鰻登場。さて、お味は。
見事なボリュームに思わず笑みがこぼれる。東と西のどちらから手をつけようか。「どちらにしようかな、天の神様の、、、」。まずは関西風から。ふんわりサクっと見事な関西焼。そして関東風を食べるとふんわりフワっと見事な関東焼。タレが少々濃いめなのは、関西風に合わせているのだろう、申し分ない。東西の軍配はつかぬが、見事なコラボレーション。まさに贅沢。
あえて言うならば、ご飯には少し改善の余地あり。もう少しふっくらさせてもいい。あと、関西風は予め鰻を短冊状に切ってあるとよかった。それを差し引いても大満足。
東西味比べ。
是非、我孫子まで行ってご賞味を。
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★★★★★ 最高峰の味!!
創:個性的な輝き
近隣のおすすめスポット
手賀沼公園
20年前と比べて、ずいぶん綺麗になった。もし昔の汚い沼のイメージが残っているならば訪問して是非払拭を。お㚙川から10分くらいの散歩道。途中に2軒の鰻屋があるのでそちらも気になる。
老舗立ち飲み屋のような鰻屋
うなぎ花菱 東急沿線狭い。でも鰻屋はこれでいい。
三軒茶屋の三角地帯、エコ-仲見世商店街に、両隣のお店に押しつぶされそうに立っている鰻屋。老舗立ち飲み屋のような風情。営業はお昼だけらしい。
狭い扉をガラガラっと開けると、「時間がかかるけれどいいですか?」っと女将さんの問い。「どれくらい?」「40分くらいです」と鰻屋としてはベストな待ち時間。もちろん待つ。
1階はカウンターが3席と焼き場。すでに年配の2名がいらしたので2階へ通される。畳の上に2卓。「誰もいなくて寂しいかもしれませんが、しばらくお待ちくださいね」と女将さん。温かい。狭いとはいえ、2階で1人は空間を持て余す。
1階から年配2人の常連さんと、不慣れな1名様との会話をBGMに、本を読みながら鰻待ち。下の階から香ばしい鰻の香りが上がってくる。そろそろか。
待つこと40分。ベストな待ち時間。さてお味は。
「焼き過ぎ?」表面が焦げているように見えるが。。。と思いながら一口。
やわらか~い鰻。タレは濃すぎず薄すぎずで鰻の味をよく感じられる。表面の焼き具合がしっかり強めで焦げ目がむしろ香ばしい。
都心の喧騒を忘れて2階で誰もいない中でひっそりと鰻を味わうのはたまらなくいい。真夏に来て団扇で仰ぎながら、ビールを呑みながら鰻を待ちたい。そんな気になる鰻屋だ。
是非ご賞味あれ。
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★★★★☆ 名店!また行く!!
粋:鰻の前にお酒を一杯
鰻100%の魚醤をつかった「いづも焼き」
いづもや東京・日本橋鰻の魚醤で焼いた「いづも焼き」とお酒を合わすべし。
日本橋で昭和21年創業、本館と別館があり、本館はお座敷、テーブル席は別館から。
ここのお店には変わったメニューがある。
まずは、「いづも焼き」。
鰻でつくった魚醤のつけて焼いたオリジナル料理。魚醤は「しょっつる」や「ナンプラー」などが有名な魚と塩で作った発行調味料。大豆でつくると醤油で、魚でつくるから魚醤。大豆などの穀物からつくる穀醤よりも魚醤の歴史は古い。このお店は、ただの魚醤ではなく鰻100%の魚醤。オリジナル調味料で世界に1つのオンリーワン。それで焼いた鰻が「いづも焼き」だ。
もう1つは、「蒲の穂焼き」。
蒲焼の語源については諸説あるが、蒲の穂に由来するという説がある。これは、鰻をまるまる串に刺して焼いた姿が蒲の穂に似ていたためと言われており、これを模したメニューは「蒲の穂焼き」。
(参考)蒲の穂
すべて食べたいところだが、欲張ってもいいことは無い、と心落ち着けて、鰻重といづも焼きを注文。出てくるまでに10分ほどと意外にも提供が早い。
で、お味は。
まずはオーソドックスな味を確かめるべくうな重からいただく。さっぱりとした鰻。変わったメニューのあるお店なので、変化球の味かを思いきや、品のある鰻の味。ご飯の炊き具合も鰻にベストマッチ。
さて、それからいづも焼き。
香りが飛騨高山を思い起こさせる醤油を焦がしたような香ばしさが食欲をそそる。しっかりと焼けていて、舌の上にのせると、ピリリと醤の味。うまい。「先にお酒と合わせて一杯やるんだった」と、思わせる味。うますぎる。次に来る時は、いづも焼きで一杯やってからうな重だ。間違いない。でも「蒲の穂焼き」も食べたい。今から悩ましい。
うな重もおいしいが、是非「いづも焼き」をご賞味あれ。
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★★★★☆ 名店!また行く!!
創:個性的な輝き
近隣のおすすめスポット
にほんばし島根館
アンテナショップが多い日本橋。その中でも島根のお店。
島根・鳥取は地味に思えるのは関東在住のせいだろうか。出雲大社か鳥取砂丘か。 いづれの地も日本酒はしっかりとした味で、おいしいお酒が多い。神々が集まる地、島根を掘り下げてみてはいかがだろうか。
My Best鰻屋
西本名古屋市(名古屋編 2018/2/20、2017/2/20、何度も訪問)
最も多く訪問していて、最も多く食べているのが、名古屋山口町にある西本。
30年以上前、小学生のころから慣れ親しんだ味で、家族の思い出も多い店。鰻好きの原点がここにある。
カリっと香ばしくてコッテリとしたタレ。お気に入りは、ご飯の間にも鰻が入っている「中詰め」。それと肝焼き。ここの肝焼きは、串焼ではなく、お皿に乗せて出てくる。
名古屋に帰る度に立ち寄る鰻屋。My Best鰻屋。
いつからか「ひつまぶし」がメニューに加わった。媚び始めたところは気に入らない(笑)。
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★★★★★ 最高峰の味!!
衆:気軽に立ち寄れる鰻
神楽坂で食後に抹茶
志満金四ツ谷・市ヶ谷・飯田橋和服姿が似合う老舗の鰻屋。
150年以上の歴史を持つ老舗。場所も神楽坂と深みのある街の鰻屋。とはいえ、建物は新しくて綺麗。お客さんにも和服を着た方もちらほらと見受けられる。これは神楽坂の街柄なのか、風情がある。大きな座敷もあるようだが、少人数の場合は1階か2階。1階は20席くらい。
注文から10分ほどで鰻登場。で、鰻のお味は。
蒸した鰻という表現があてはまる関東らしい鰻。醤油風味が強めではあるもののあっさり味。150年の伝統のタレと聞いていたのでもっとコッテリかと想像していたが、ちょっと拍子抜け。もう少し焼いてくれる方が好みではある。。。少し鰻の身が薄い。
お会計しようと立ち上がったら、抹茶があるからお待ちくださいとのこと。鰻食後に抹茶とは風流な。もう少しタイミングよく出してもらえるとうれしかったが。。。
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★☆☆☆☆ お勧めはできないお店
楽:仲間でわいわい鰻
近隣のおすすめスポット
神楽坂通り商店会
神楽坂といえばこの商店街通り。なだらかに続く坂道と品のある賑わい。左右に並ぶお店を眺めながらのお散歩は、息が上がりながらも気持ちが跳ねる。景観を壊さないようにスーパーマーケットなどの商業施設は作らないようにしているとか。
職人気質をビンビン感じるお店
はし本東京・日本橋職人気質を感じるお店は、テンションが上がる。
日本橋にある「はし本」は、「生産者の顔が見える鰻」がモットー。お店の入口にも、その日の鰻の産地が書かれている。また、テーブルの上のメニューにも鰻へのこだわりが書かれており、「うな重の前に鯉のあらいでお酒を一杯やるのがよい」ともある。その通り。
昭和22年創業の「はし本」は、よいものをおいしく食べさせたい職人気質がぐいぐいと伝わってくる。このように鰻屋は職人気質であって欲しい。しかしながら、お店は頑固に格式ばってはおらず、むしろ窮屈で庶民的な雰囲気をかもしだしている。
注文してから10分ほどで鰻登場。もっと時間をかけてくれた方が味わいがでるのだが。。。
さて、お味は。
この日の鰻は宮崎の鰻。見事なフワトロ系鰻、タレはサッパリめ。食べる前にお店のこだわりを読んでいた分、味わいが深くなる。お酒で一杯やってから合わせるのがベストなうな重。
職人気質を肴に一杯やるお店。
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★★★★☆ 名店!また行く!!
粋:鰻の前にお酒を一杯
近隣のおすすめスポット
山本山
『上から読んでも「山本山」、下から読んでも「山本山」』。ある一定の年齢の人には忘れられないフレーズではないだろうか。幼稚園生だったワタシには『「やまもとやま」は下から読んだら「まやともまや」じゃん!』とはてなマークだったが。