鰻割烹あら井

有田焼の鰻重

器も蓋も有田焼のお重。奇をてらっているわけではない。鰻重を美味しく食べるために考えられた匠だ。お米を食べるとそのこだわりはわかる。鰻重を支えるのは米だ。
そんなことを改めて実感できる烏山のあら井。

京王線の千歳烏山。今は特急も停まる駅であるものの、ホームと改札は昔ながらの狭くてローカル感がある。烏山駅から歩いてすぐの地にある「あら井」。店内は仕切られた半個室。雅なお店。
着席と同時にお酒を勧められる。「推酒」と書いて「おさけ」と読む。

うな前に肝焼きとヒレ焼。お酒は農口尚彦研究所のvintage2020 純米酒。言わずと知れた日本酒の雄、伝説の杜氏農口さんのお酒。vintageとはいえ、古酒のようなエグ味はなく、マイルドで重厚なお酒。足腰の強い純米酒だ。

そして、肝焼き登場。
密度が濃い。鰻の内臓をこれでもかと思えるほどに詰め込んだ肝焼きは、農口さんのお酒と合わないわけがない。立派な肝焼きだ。

次はヒレ焼。
細身で色黒のヒレ焼は映えないが、肝焼き以上に深い味わい。柔らかくてジューシーなヒレ独特なねばりに、タレの味があい絡まって昇天味。

農口さんのお酒がなくなって「推酒(おさけ)」として推されている兵庫の「秀月 月の雲海」を注文。春らしい薄濁りでフルーティな香りと微発泡ならがも芯のある味わい。

ああ、お昼からまったりと至福。

そして真打登場。
鰻重の特上(6050円)。有田焼で登場。器が熱い。
とてもよく考えられている。器も蓋も有田焼なので、熱を保ってホクホク。焼きの後の半蒸し。箸の入りも肉厚もいい。
タレ味はスタンダードながらも濃いめの味付け。癖がない分、モリモリと食べられるおいいしさ。パラパラと尖った鰻重と相性のいいご飯。お米がいいのか炊き方がいいのかの判別は難しいところ。

推酒(おさけ)に始まり、有田焼といい、ご飯の旨さといい、こだわりが伝わる鰻屋さんだ。

最高峰の味!!

鰻の前にお酒を一杯

初回訪問日:2025/04/15

食べログ情報

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