東急多摩川駅から蒲田へ向かうローカル列車のような多摩川線の沼部駅。多摩川河畔にほど近く、田園調布のはずれに位置する閑静な住宅街にある川京。テーブル3卓とカウンター4席のこじんまりとしたお店で、出前も受けてくれる。まさに街鰻。
注文は鰻重、鰻の佃煮、灘の富貴の熱燗。まずは熱燗とお通しの温泉卵が出てくる。お通しに温泉卵とは珍しいが、50度弱のお燗と冷たい温泉卵の組み合わせはなかなかいける。
そして鰻の佃煮。鰻の身が崩れるほどに煮込んだ味の濃い逸品。これも熱燗と合う。富貴は本当に普通のお酒で呑み疲れをしない一般酒。こういうお酒が一番体に染みる。
すると、厨房からは圧力鍋の音が聞こえる。蒸し置きはせずに注文ごとに調理してくれるようだ。待ち時間が楽しくなる。
そして真打登場。鰻重、寿の上(4950円)。鰻1尾を贅沢に使ったお重。
しっかりと蒸されていて、表面だけを香ばしくあぶった鰻。箸がスッと入る柔らかさは蒸したての鰻ならではのもの。
電話が鳴る。出前の注文のようだ。
街鰻ならではのやり取りに心が癒される。