鰻屋で最も雅な一品は「鯉のあらい」だ。淡白でコリコリとした身を酢味噌で食べる。それ自体の味はアッサリなので日本酒と合わせるとその良さがよくわかる。味の濃い蒲焼を食べる前は、これくらいの落ち着いた肴と日本酒が本来はいい。三郷にある根本で鯉のあらいを喰らう。
三郷といっても限りなく東京に近く、水元公園の隣にある根本はこの辺りの人気店だ。
その雰囲気は広い店内にテーブルと座敷が並ぶ大衆的で行列必至なお店なのだが、風情な一品、鯉のあらいがある。
注文するとすぐさまお酒と一緒に登場。
きちんと処理されていて美味しい。お酒は透き通った冷えた普通酒だがぴったりと合う。大衆店でありながら雅だ。至福。
ゆっくりと呑みたいところ、パクパクと食べてしまう。ちょっと風情を失いそうになりながらまったりのんびりとすること20分で真打登場。
鯉のあらいとは裏腹に見た目で濃厚さがわかる。インパクトのある鰻重だ。
鰻重の上（3700円）はご飯が見えないくらいに布団のようにご飯にかぶさる。
さてお味の方は、香ばしいを通り越して「焦げてるよな（笑）」と突っ込みたくなるのだが。。
でもそんなほろ苦さも計算されたように濃厚な甘いタレが鰻重に一体感をもたせる。
力技の鰻重だ。
雅な前半をひっくり返すような愛嬌がこのお店のいいところ。
