吉祥寺は志乃ざき。八王子に本店を構える昭和22年から続く老舗だ。
吉祥寺にありながらも駅からは徒歩10分弱の静閑な場所。店内はL字カウンター(厳密には8時型)とテーブル3卓と小上がり。居酒屋キャパとしても最高のつくり。
カウンターの焼き場の前の席に通される。焼きを観られる特等席。ガラス越しに炭火の熱が伝わってくる中で一杯やる至福さ。鰻前の注文はひれ焼き(塩)とカブト、そして山形正宗辛口純米。正宗を名乗るだけあって米の旨みを引き出したしっかり味。塩味のひれ焼きは素材の甘さがビリビリと伝わってくる、塩最高。兜も柔らかく蒸されて甘みのあるタレ、正宗と合わないわけがない。鰻が焼かれる景色を観ながらの一杯に心休まる。
そして真打登場。上うな重(5500円)。
綺麗に焼かれている。先程まで目の前で焼かれていた鰻だ。
蒸しが長めで焼きで焦げ目をつけた鰻身はとても柔らかい。箸がサクッと入る柔らかさ。タレは旨味と甘みが引き立つ濃いめの味でご飯はややもっちり。うまい。
昆布風味の肝吸い、香の物もしっかりとした味。代々受け継がれているというぬか床の味か。こちらもうまい。
濃いめの味ながらも丁寧で素材のうまさがわかる味の連続。
うまさのハーモニーというよりは、うまいものが並んだ幸福感。
女将も気さくで雰囲気も味もいい名店だ。