すが原

こだわりと謙虚さと

このお店のこだわりは好きだ。
メニューとともに案内があり、そこにはこう書かれている。
蓋を開けるとほんのりと山椒の香がするようにあらかじめ山椒をかけているので、追加の山椒は出さない。
それがすが原の料理らしい。

中野坂上の隣駅の中野新橋から徒歩で5分ほどの住宅街にある落ち着きのある一軒家の鰻屋すが原。某雑誌で2時間の蒸しと書かれていたので気になって探訪。すると早速に山椒のこだわりを目にしたし、その他にも養殖鰻の味覚では白焼は独断と偏見でつくらないとか。とがってるねぇ。独断と偏見であると断りを入れているところが好きだ。
かと言って職人一徹の頑固親父のお店ではなく接客は腰が低くて丁寧。そんなギャップがこのお店の魅力だろう。人柄があってのこだわりだ。

注文はうな重の「は」(4950円)と肝焼き、お酒は東京の酒澤乃井なるくち。
肝焼きは串ではなくお皿に盛られた上に、ほんのり山椒とともに木の芽。いい香りだ。表面はこんがりだが苦味はなく辛口の澤乃井と合わせるとお酒があまくなる。これこそ鰻屋の美味だ。見事で最高。

そしてお酒を呑みほすと真打登場。

確かに蓋を開けると、ほんのりと山椒の香り。ほどよいタレの焦がし具合。長時間の蒸しで脂は削ぎ落とされているので華やかな脂乗り感はなく、素朴な川魚のように品のある鰻。タレも控え目でさっぱり味だ。

脂がのった鰻が人気のある中で、このこだわりは筋が通ってる。
格好のいい鰻屋だ。

おいしいお店

個性的な輝き

初回訪問日:2023/08/12

食べログ情報

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