うな重に付くお新香は、もともとは鰻が焼きあがるのを待つ間の一杯の肴として出されたという話がある。うな重を待つ間の一杯を楽しみにしている私にはこのスタイルがとても好きだ。お重を食べている間にお新香を食べて味を変化させたくない。気が利くお店は、お酒を頼むとお新香を先に出すかと聞いてくれる。
ここ松琴楼は、何も言わなくてもお新香と骨せんべいを先に出してくれるお店だ。
江戸時代から宿場として発展してきた小田原だが、古くから続く鰻屋は少ない。そんな中で小田原城からすぐの位置にあるここ松琴楼は江戸時代からつづく老舗。
小上がり中心の店内は、日本的で落ち着く広間だ。
松琴楼のうな重のメニューは、グラムで分かれている。140g、200g、230g、250g、300g。風情の無いむき出しの表記。特上、上、並でもなければ、松竹梅でも、いろはでもない。オブラートに包むことなくグラム数。グラム数を問われてもいまいちぴんと来ないが250g(3,630円)を注文、おそらくこれが1匹分くらいだろう。
あと、「なま肝」というメニューを頼んだところ、水曜日はやっていないとのこと。残念。
しかしながらお通しに塩辛、先出しのお新香と骨せんべいと豪華な肴。これなら問題ない。
うな重待ちの至福タイム。
20分ほどで真打登場。ここは丼スタイルのお重だ。柔らかい鰻。そして米がうまい。
タレは醤油味強めの辛口だけれど、鰻とご飯の甘さで中和されてサッパリに感じる。バランスのいい鰻だ。
おいしいものが多い小田原は、鰻もおいしい。