相模湾は夏がいい。青々とした海、魚がうまい、酒がうまい。そして鰻もうまい。
小田原の国府津(こうづ)。小田原の鰻屋と言えば友栄、松琴楼が有名だが、うな和も名店だ。うな和はうなわと読む。人が人を呼ぶ=「わ」になるという意匠。平日のお昼から予約客で賑わう。お店のモットーである気配りも行き届いていて心地よい。
この日の注文はかぶと煮と松みどり。松みどりは神奈川のお酒で、蔵元の創業時から小田原藩とゆかりのある地元の中澤酒造のお酒。「媚びず、おごらず」がモットーで素直な酒造りを心掛けている地場の酒造だ。ほんのりと米の甘さがあるが、味の濃いかぶと煮と合わせると味が引き締まる銘酒。かぶと煮は、口の中ほろほろと崩れるくらいに煮込まれていて、甘辛くて生姜を添えた肴。いい組み合わせだ。
うな和には神奈川のお酒が揃っている。地元のお酒を推奨しているとのこと。こういうお店は大好きだ。
20分ほどで真打登場。うな重の上(6050円)はお重の表面を覆い尽くす見事なうな重だ。
味は甘過ぎず辛過ぎず、脂を落としてほんのりと焼いて。まさに中庸。
それゆえに50年以上も続くのだろう。小田原の堅実な鰻屋さんだ。
今日は相模湾のアジを食べて帰ろう。