芳野屋

白焼きをしない鰻

生蒸し鰻。それが芳野屋の鰻だ。白焼きをしてから蒸すのが関東鰻の定石だが、白焼きをしないで最初から蒸す。そのために鰻がとろけるような柔らかさになる。この方法は稀で、いちのやさんもこの調理方法。

柏に根付く芳野屋は、鰻の調理方法だけが特筆することではなく、お店の人の感じがいい。
この日は茹だるような暑さの中、2階席しか空いていなかったのだけれど、2階席は1階よりも少し暑いけれどもいいかと気遣ってくれたり、お通しの確認からお酒の運びなど、笑顔とあたたかさがある。
地元で愛される鰻屋だ。

この日はコロナのご時世で、メニューも席数も縮小とのこと。酒の肴があるか心配しながらお店に入ると、肝煮だけはあるのだとか。ホッとしながらお酒は夏季限定の冷製ひれ酒。初めての体験だ。河豚のヒレを炙って熱燗に入れて火を灯すのは冬の定番酒だが、冷酒の中に炙ったヒレを入れるらしい。

柄入りの酒器のため、見栄えはよく無いのだけれど、さっぱり香ばしさが漂う。確かにひれ酒だ。お通しは生湯葉、珍しく生姜がのっていてさっぱりな味わい。そして肝煮は濃いめのタレでさっぱり冷酒に合う。

そして25分ほどで真打登場。生蒸し 鰻重(3960円)。

柔らかい鰻に。タレはとてもさっぱりで、むしろここまでさっぱりさせているタレも珍しく、ご飯へのタレも少なめなので鰻の食感が際立つ。お吸い物のお出汁も薄味で、すべてが控え目な味だ。

すべてに筋が通った職人気質を感じる。

おいしいお店

個性的な輝き

初回訪問日:2022/08/09

食べログ情報

芳野屋

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