粋な地にある粋な鰻屋。何気ない小さなこだわりがお膳の上を華やかにする。1人用のお膳が用意されてビール袴の上に瓶ビール、おからを頼めば立派なお椀で出てくるし、割りばしには屋号が刻印、お吸い物の蓋には日本橋の柄が施されている。
日本橋で昭和21年創業、戦後の昭和の中で江戸らしさを追及した銘店だ。
お店に入ると着物姿の店員さんに迎えられる。みなさんとても気のよさそうな方々だ。
注文はうな重の竹(4000円)。出てくるまでに15分とのことで、瓶ビールとおからを注文。おからとは珍しい。
はやる気持ちを押さえて瓶ビールを注いで待つこと5分、大きなお椀でおからが登場。まさかのお椀。おからが高級料理に化けて華やかになる。ほんのりとした甘みが頬をゆるめる。うまいなあ。ビールに添えられてでてきたきゃらぶきの醤油っ気とともにビールが進む。日本酒でもよかったと少し時を戻したくなる。
さて、20分ほどで真打登場。
よく蒸された柔らかい鰻に硬めのご飯、そして少しからめのさっぱりダレ。
江戸らしさを感じる王道なうな重。安心して鰻を無心に頬張れる。
一言でいうならば「ザ・うな重」。日本橋の名にぴったりの銘店だ。