「きもつく」。聞き慣れない言葉。鰻屋の品書きでなかったら妖怪の名前に思ってしまいそうだ。興味津々で熱燗と一緒にお願いをする。
鎌倉から江ノ電で一駅の和田塚にある「つるや」。いざ鎌倉、今年は大河の舞台でもある鎌倉。落ち着いていていい街だ。
開店の11時半に到着するも、13時なら空いているということで、うな重を注文して、鎌倉散歩でお腹を減らして再来訪することに。後でわかったのだが、うな重の調理は時間がかかるので、お店での滞在時間を減らすための方法のようだ。1階はテーブル2つであとは2階席のこじんまりとした鰻屋ならではの対策に思う。
そして13時に着席するなり「きもつく」とお燗。驚くほどのベストマッチで至福なり。
「きもつく」は鰻の肝を甘辛く煮てから冷やしたもので、煮凝りのようなゼラチンが少し残っていている。見た目とは違ってさっぱりとしていてほんのり甘い。熱燗とバッチリな組み合わせ。熱燗のためにあるような肴だ。つるやでは肝焼きではなく肝を煮たものを提供している。
10分ほどで真打登場。5段階の2番目(4400円)。
しっかりと蒸された柔らかい鰻でさっぱりタレ。関東うなぎらしいうな重だ。そして肝吸いの出汁がしとやかな味で、お米と合う。お米を肴に熱燗を飲んでいるような気になる。
庶民的なお店でありながら、あっさりとした上品さがあるお店だ。