うな若 中野新橋店

暖簾分けは任侠道の味

中野新橋のうな若。平日、雨の日のお昼に鰻屋で一杯。雨の日は雨の日で染み入る日本酒。
ひれ焼きと肝わさ。お通しは牛蒡と蒟蒻の煮物。お酒は松竹梅。「しょ〜ちく♪ばい〜♪」と今は亡き渡哲也氏のダンディズムを感じながらたしなむ。
ひれ焼きはタレの味が濃厚でお酒が進む。肝わさはツーンと山葵が効いた上に出汁の甘さ。これもこれでお酒が進む。いづれにしてもお酒が進むのが鰻前肴。

そして共水うなぎのお重を待つ。うな若のメニューはすべて共水うなぎ。しかもお値打ち。

目黒区鷹番、学芸大学前にある鰻屋うな若も同じくすべて共水うなぎで、鰻前の料理の味も近しい。
屋号が同じなので聞いてみたところ、暖簾分けのお店とのこと。任侠ドラマならば兄弟筋に当たるわけだ。
両店ともよいお店なので、本家を味わってみたくなるものだが、すでに休業とのことで残念。

この暖簾分けというのは鰻屋に限った話ではなく、飲食店独特だと思うのだが、資本関係や上納金は無いにも関わらず、同じ屋号で自分のお店を出すというのは、強い師弟関係と信頼があるのだろうか。自分のオリジナル店としての独立ではなく、師の看板をこの先も背負っていく意気込み。芸術家では無く、職人というところにその所以があるのかもしれない。

と、話が大きく逸れたが、真打登場。翁(5300円)。

やはり共水うなぎはうまい。蒸しは圧力鍋のようだが、柔らかい鰻に硬めのご飯。醤油が強めの濃いタレ。

あっさりとしたお通しの味から、小鉢、お新香が美味しいところ、女将さんが温かいところ。共水うなぎながらお値段控え目。鷹番のうな若にも近しい。任侠道を感じる味だ。

おいしいお店

鰻の前にお酒を一杯

初回訪問日:2024/03/12

食べログ情報

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