名古屋が誇る劇場 御園座の横路地にあるよね一(よねいち)。創業70年近い鰻屋で、たたずまいも店内のつくりも昭和風情でいっぱい。2階に上がる階段も急勾配。昔のつくりだ。
もともと名古屋では、地焼の鰻のどんぶり飯が主流。庶民の味でひつまぶしもその延長のうな茶になる。
土曜日のお昼に到着。
名古屋の鰻屋でゆっくりとお酒で鰻を待つなんてことは野暮。それゆえにお店に入る前に名古屋ならではのビール(明治・大正に東海地方でシェアを誇ったカブトビール。)を数杯飲んでからの訪店。名古屋の店員さんはフランクで心地よい。2階に通されてひつまぶし中詰をお願いする。そしてう巻きとお燗。
準備されたう巻きと菊正宗のお燗が登場。お手頃値段で十分に満足。熱いお酒が身体に行き渡る。ゆっくりではなく、サクっといただいて真打を待つ。
そしてすぐさまにひつまぶし登場。
中詰。中詰というのはご飯の間にも鰻が挟まっているもの。名古屋ではよく見かけるが、関東、関西では無いのではないだろうか。関西ではまむしと言ってご飯の間で蒸すというが、その場合はご飯の上には鰻がのっていない。中詰は鰻丼のご飯の間にも鰻を入れる欲張って贅沢な丼。カリっと焼かれた鰻とご飯で蒸された鰻。欲張りな名古屋らしい良き食べ物。
さて。
よね一の特徴は月見とろろが付くこと。それゆえに必然的に3倍目がうなトロ丼になる。珍しい。
もともとうなトロ丼自体は邪道に感じているが、ひつまぶしの一連の1杯ならば良いのではないか、とおおらかな気持ちでいただく。普通にうなトロ丼そのままなのだけれど、ちょっとした違いに愛嬌があっていい。
ここのお櫃はとても大きいたっぷりサイズで5杯分はある。満腹。名古屋っぽい欲張り感に大満足だ。